栄養療法の問題点(副腎疲労症候群の真実)


副腎疲労外来を受診した方は医師から説明を受け、自由診療の様々な検査を推奨されます。(有機酸検査、唾液中コルチゾール検査、尿中重金属ミネラル検査、オリゴスキャン検査、毛髪ミネラル検査、遅延型フードアレルギー検査等。)

「あなたが、それだけ体調が悪いのは何か原因があるはずです。当院では、通常の病院では出来ないアメリカで行っている最先端の各種検査を行っておりますので、あなたの体調不良の根本原因を検査で見つけましょう。」と。

 

何より、患者は体調不良の原因が総合病院の検査結果で現れないとなると、周囲の人々や会社に説明が出来ず、「気持ちの問題じゃないの」と家族や会社の人間に言われ、「精神的に弱い人」というスティグマ(烙印)を押されてしまうのではないかという不安に苛まれます。

その為、必死になって原因を探そうとし、何とかして悪い数値が出てほしい。と潜在的に願ってしまうようになります。

 

(当たり前の話ですが、多細胞多微生物の共存体であり、非常に複雑な生命体である人間の体調不良の原因を、全て検査で突き止める事が出来ると考える事は無茶な話です。現代の医学や科学は人体の仕組みを100%どころか、10%も解明出来ていないでしょうから、検査で数値化する事が出来ない病が、幾つもある事は、当然の事です。またそれら検査で数値化されない器質的で機能的な異常を気持ちの問題で片付けるのも非常に稚拙なことでしょう。また、そもそも医学的には原因がわからないといわれていても、解決方法が見つかる場合もあります。

 

そうなると、何としてでも心療内科で診断される「自律神経失調症」「適応障害」という病名だけでは診断されまい、と考えて行動してしまい、幾ら金額が掛かってもいいから、原因を突き止めてくれる検査をしよう、と思ってしまいます。

 

そこには当然、前述した理由だけでなく、原因を突き止めれば(検査結果で悪い数値が出れば)その数値を良くすれば治るという思考を一般の方々が潜在的に有しているからです。

 

 

※それらの数値を良くしたところで、あなたのその原因不明の症状が治る訳ではありませんが、一旦それはおいておきましょう。

 

少し話題がそれてしまったので、本題に戻ります。

なぜ、医療ビジネスに対して門外漢の日本の企業が、海外の医療用検査機器企業や遺伝子検査企業等を買収するのでしょうか。

 

元々、海外では一部の富裕層が、ある種知的好奇心を満たすような欲求で、これらの遺伝子検査等を行う例はありましたが、一般の人々には見向きもされませんでした。

しかし、これらの検査が低額化されていくと興味本位でこれらの検査(サービス)を受診する人が増加してきました。

さらに民族性なのでしょうか、アジア圏ではこれらのサービスの提供を受ける方が大幅に増えるようになり、近年では、逆にヨーロッパやアメリカでは減少傾向にあります。

 

ヨーロッパやアメリカで減少傾向になった理由は、「信憑性が乏しい」「検査結果の根拠が乏しい」と明確にこれらの検査の正当性や正確性が否定され、それが浸透しつつあるからです。

日本では、まだその認識が少ない為、検査サービス提供会社にとっては、日本を含めたアジア圏は格好のターゲットとなっています。

 

また遺伝子検査については下火傾向ですが、遺伝子検査以外の医療用検査機器の開発や医療用検査サービスを実施している他の海外企業は現在も躍進しています。

 

これらの背景には、生活環境や労働環境の変化、過剰で長期的なストレスを起因とする慢性疾患を抱える人々が世界中で増加傾向にあるからです。

ITや電子機器の発展により、先進国における知的労働者に求められる業務スキルや業務スピードは限界以上に高度化され、業務量は果てしない程、増え続けている傾向があります。自然界における生物としての限界を超える程までにハードワークを強いられるようになった先進国では、原因不明の体調不良や疾患を抱える方が増え続けています。ロジカルシンキングに慣れたこれらの知的労働者は、数値化・目視化されたものを信じ過ぎるという傾向にあり、体調不良を数値化してくれる検査というものを、過度に信用し、依存してしまう傾向にあります。

 

(また、ビジネスの先端でハードワークをこなす人ほど、高度で先進的なサービスや治療には高額な費用がかかり、また高額な費用を支払う程、良い医療を受ける事が出来るという無意識下における誤った先入観があります。

 

つまり世界中で(特に日本等の先進国においては)、とにかく高額で細かく数値化してくれる検査のニーズが非常に高まっているのです。

 

しかしながら、当然それらの医療用検査サービスを実施している会社が、ただの一般紙や一般の広告等の媒体を介したサービス提供では、一般人の多くはそれらの検査サービスを受けようとはしません。

 

しかし、それらのサービスが自由診療という枠組みの下、病院で提供された場合どうでしょう。多くの方は、医師が実施している検査だから信憑性のある検査だと思ってしまいます。(医療業界の闇を知らないという事もあります。)

 

マーケティングを行う業界等は、その事にいち早く気づいています。

Welq問題に象徴されるように、現在の日本においては、医療産業が今後も成長し続ける一大産業であることに一部の方達は気が付いています。これからの成長産業は医療と検査を収益事業の柱とした医療ビジネス産業だと。

 

それでは、ここまでの経過をまとめたいと思います。

・過労や長期的な高ストレス状態の継続により身体が動かなくなる程に体調を悪化させたが、標準医療で異常が出ない患者が沢山いる。

・これらの患者の特徴の一つとして、元来、精神的に非常に強く、高いキャリアを有し、高収入を得ている。また体調を悪化させているが、うつ病等で代表される気分の落ち込み等による精神症状が少ない。

・これらの患者は、高いキャリアを有しており、比較的高収入を得ている為、キャリアダウンを避ける為にも、医療費は幾ら支払っても構わないと思っている。また、とにかく新しい検査を受けて、悪い検査結果が出て欲しい潜在的に願っている。

・医師は、自由診療にしてしまえば厚生労働省が認可していない様々な検査を行うことが出来る。(国が認めていない検査、また医学会において信憑性がないと断言されている検査を「高度で先進的な最新の検査である」と言い、自由に料金を決めて検査する事が出来る。)

 

つまり、世界中で、(特に日本においては顕著に)新しい検査機器の需要が高まっているのです。

 

 

さて、ここでもう一つの軸に話を移します。

あなたが受けた、「遅延型フードアレルギー検査」、「有機酸検査」、「重金属蓄積検査」に、小さくこのような表記がされていませんでしたか?

 

「これらの値は診断の目的ではありません。」「この検査は診断を目的とするものではありません。」「この検査はFDAの審査を得たものではありません。」「医療関係者による医療的なアドバイスや治療法に取って替わるものではありません。」「特定の生理学的健康問題は、ミネラル/重金属の問題よりも、その他の要因が影響している場合があります。」

 

厳密に言うと、これらの検査は医学的な検査ではなく、医療風検査サービスなのです。そしてこれらのサービス提供会社が検査結果報告書に記載している通り、この検査結果に基づいて診断してはいけないし、これらの検査結果が導きだす数値はあなたが抱えている症状や健康問題とは関係ない、のです。

しかし、医師の多くはこれらの検査結果に基づいて、医学的に認められていない、副腎疲労症候群、リーキーガット症候群という病名を付けてしまっています。さらには、これらの検査を正しく解釈し、治療法を提案する為には高い診察料を支払って医師の下で検査を受けて下さいという方もいます。

 

本来、「あなたの健康問題とこれらの検査結果には因果関係はありませんよ」と伝えなくてはいけないはずの医師が!!

 

ここまででおわかりになったと思いますが、自由診療の名の下に、医学的に認められていない検査を行い、医学的に認められていない病名を付け、医学的に認められていない治療法を提供しているのです。自己責任という、患者への責任転嫁の下で。

 

 

この傾向はアメリカで始まったものではありますが、非常に危険な傾向です。

なぜなら、標準医療で治療出来ない不調を抱えている人々に新しい検査と新しい病名、無意味な治療法を教え込んで荒稼ぎすることが出来ますから。

 

そして、副腎疲労症候群(アドレナルファティーグ)という病名が一般紙にまで取りあげらるようになり、体調不良に苦しんだ方々が、医師に大金を支払うという非常に悲しい現実を生み出してしまっています。

がんとは違いますが、前述の通りハードワークで身体を壊した高収入のビジネスパーソンをターゲットとした医療ビジネスとして考えると非常に優秀なビジネスモデルでしょう。

 

懸念すべきは、これからも副腎疲労症候群につぐ、病名が幾つも表れてくるという事です。そして、現在の経済の流れを見ていても明確な通り、今後も医学的な根拠のない医療風検査サービスを導入する開業医は増えていくでしょう。

 

この流れは、国家が規制しないと、止める事が出来ないかもしれません。

これからの日本では非常に悪質な医療ビジネスが横行することは、明らかなことでしょう。

 

そして、患者は今まで以上に医療に関する正しい知識を身につけないと、悪質な医師に食い物にされてしまいます。