栄養療法の問題点(本質を知ること)
副腎疲労症候群、起立性調整障害等の病気に見られる症状は、最近になって見られるようになったのでしょうか。
うつ病や自律神経失調症等は近年、治りづらくなったのでしょうか。
これらの病名に代表される症状は、百年以上も前から世界中で広く認識されていましたし、また検査等で医学的に数値化して診断する事が出来ないことも、投薬等で治す事が出来ない事も周知の事実でした。(投薬は一時的に症状を抑える事が出来るので、個人の行動範囲を広げるといった意味では有効です。)
しかし、百年以上も前から、これらの疾患から回復して、その後の人生を謳歌している人は沢山いました。
電通等の大企業で働く社員の過労死が社会問題となるように、現代はどの業態においても、過重労働を強いられる職種は非常に多くなっています。私の知人や友人でも、うつ病やその他原因不明と言われる病気を発症し、仕事を休んだり、辞めてしまった方が多々います。しかし、度の差はあるものの、症状から回復して社会復帰を果たしている方は数多くいます。
そういった方々に話を聞くと、それぞれ病気が治癒していった様々な理由を述べますが、サプリメントを飲んだから、薬を飲んだから治ったと言った人は、一人としていませんでした。
薬を服用していた方でも、薬が病気を治癒させたと思っておらず、薬は一時的に症状を抑えていただけのものであり、本質的な治療では無い事を良く理解しているのです。
皆、ある程度の年月を掛けて、無数の条件が一致し、様々な変化が起きた中で健康を取り戻したのです。
近年、副腎疲労症候群、うつ病、自律神経失調症等の症状から、回復しない方が大勢いるのはなぜでしょう。
数十年前はインターネットもなく、医療も非常にシンプルなものでした。
医療や健康に関する情報は書籍から知ったり、普遍的かつ誰もが効果的だと実感出来るものが本当の口コミで広がっていました。
一般的な病院では治療方法が存在しないという病気や症状に対して、それなりに正しい理解がある人は多かったですし(医師や医師以外の方も医療行為の限界を理解していました)、また近所のコミュニティや井戸端会議では、それほどお金のかからない、効果的な治癒方法を提案されたり、それぞれが取り組む健康法を紹介してもらったりしていました。(食事、整体、温泉、気晴らしとしての新しいコミュニティ(スポーツサークル等)への参加)
しかし、文化や風習の変化から現代では、実生活による口コミよりもインターネットの口コミを人々は信じるようになってしまいました。
現代のインターネットによる口コミは人為的に作れるものであり、真実に巡りあう事は非常に少ないでしょう。
なぜならインターネット上に存在する口コミは、その口コミを出す事により、間接的に何らかの利益を得ている場合があるからです。
さらには、インターネットを使用すれば、患者のふりをして、自分の病院に関して好意的な口コミを書き込む事も出来ますし、知り合いや関係者の協力の下、自分の病院に対して好意的な口コミを作る場合もあります。
最近では、医療の知識が無い方が信憑性の無い医療情報をコピーペーストで大量に掲載するWELQ問題というのもありましたが、現在ではWELQ問題以上に医療業界のモラルが問われる問題が発生してきています。
それは栄養療法という医療ビジネスです。
医師免許を持っている方が、信頼性の極めて低い医療情報をインターネット上に大量に掲載するという行為です。
インターネットを使用して様々な疾患が栄養療法や分子矯正医学で治るという情報がGoogle検索で上位に表示されるようになると、一般の方は、全くそれまで目にする事の無かった最新の治療法として、それらの医療行為を認識する事になります。
医療機関や医療関係者と繋がりのある個人が流す情報は、医師という肩書きもあいまってか一般の方は簡単に信用してしまいます。
過去の私がそうだったように、簡単にそれらの情報を鵜呑みにして、高額な医療に大金をつぎ込んでしまいます。末期がんのがん患者が、効果が未知数の医療に数百万円とつぎ込んでしまうのと同じ構造です。
私は知人の医師にこの話をしたら、「精神的に弱っているから騙されたんじゃないの。どの業界にもそのようなモラルの人はいるからね。そもそも普通の医者は忙しいから、サイト作成したり、インターネットで情報を流している暇なんかないんだよ。ましてや苦しんで困っている患者から初診で何万も取るなんて普通しないでしょ。」と一蹴されてしまいましたが、働くのがやっとの状態の方は、前述の通りの行動を取ると思います。
栄養療法の問題点や矛盾は上げ始めるときりがないのですが、一番わかりやすい話としては、医師以外で栄養療法を薦めている人が基本的に、栄養療法を行って社会復帰出来ていないという事でしょう。回復しないから自宅でインターネットを使用して利益を上げるビジネスに目が向き始める(栄養療法を広めるビジネスを普及させる)という事です。
インターネット上に栄養療法に関する記事が増えると、より一般の方に栄養療法という手法が認識されるようになります。不調を感じている方は、その記事に飛びついて、高額な栄養療法クリニックを訪れるでしょうし、栄養療法の記事を運営しているサイト運営者は様々な手法を用いてWELQ問題と同様に多額の収益を得ることになるでしょう。
そして、病気で苦しむ個々人は「亜鉛がどうだ、遺伝子がどうだ、カンジダが、糖質が、重金属が、メチレーションが、銀歯が、」と必要以上に気に病み、意識や思考が細部へ細部へと向かっていき、人生における、もっと重要な事が見えなくなり時間とお金を浪費していく事になります。そして健康を取り戻すのが遅れ、社会復帰するきっかけを自分で逃してしまうことになります。
基本的に病気から回復していっている状況の時は、病気の事を忘れているものです。
病気とは磁石のようなもので、病気の事を考えれば考えるほど、病気を自分の近くに引き寄せてしまいます。病気の事を考えるという思考が磁力になってしまうのです。
がん治療に「笑い」が有効だ、という一説がありますが、これは、がんを治す為に笑おうとするのではなく、がんの事を完全に忘れて笑って楽しんで過ごすから、人体の構成物である細胞と微生物が活性化され、生命力を取り戻すのでしょう。
栄養療法のクリニックに訪れ、インターネットでその治療法を公開する個人が増えて、栄養療法の情報が広まると、誰が得をして誰が損をするのでしょうか。
そして何故医師は、患者を診るよりもインターネットで情報発信をする事を重視するようになったのでしょうか。
もう、おわかりなったと思います。
世の中、損得で図るべきではないとは思いますが、避けれるのであれば、無駄な損は避けるべきでしょう。
現代の経済社会では、過剰なまでの論理性と効率を求められており、多くの方々は、そのような思考を根底におき、病気を治そうとしてしまいます。検査という可視化、数値化されたものに絶対の信頼を置く傾向があります。
栄養療法という医療ビジネスの根幹は情報と検査です。
情報と検査がなければ、栄養療法クリニックに訪れる人はいません。
インターネット上に出ている情報やアメリカの医師が言っている情報は果たして真実なのでしょうか。栄養療法クリニックが実施している検査は本当に正しいのでしょうか。
この厳しい現代社会で過剰なストレスを感じて忙しく生活しているあなたの不調の原因は、本当に腸内カンジダなのですか。本当に重金属なのですか。本当にマイコプラズマなのですか。
※腸内カンジダを除菌する必要はありませんが、腸内環境を整えることは重要ですので、誤解しないで頂きたいと思います。